メレバンク・カフェ(17)
ファンシーカットメレーの盛衰
メレーの形状はダブルカット(ラウンドブリリアントカット)、シングルカットに代表される丸メレーが圧倒的ですが、それ以外にもファンシーカットメレーがつくられています。現在流通しているのはバゲット、カレー(スクエアー)、テーパーバゲット、ペアーシェイプ、マーキス、ハート、オーバル、トリリオン(またはトライアングル)、プリンセス等です。
1個石のカットに流行り廃りがあるようにメレーのカットにも盛衰があります。アパレルほどのスピードではありませんがジュエリーのデザインにも流行がありますからデザインが変化することでよく使われたり、使われなくなったりということがあります。また、生産が増えすぎると話題性や新規性が失われて飽きられる、という事態も起きます。ダイヤモンドの研磨量が急増し、研磨の中心がインドへと移行してゆくとファンシーメレーの需要も大きく変化しました。
丸メレーの小さいサイズからスタートして徐々に大きいサイズもこなすようになったインドが最初に手掛けたファンシーカットメレーはテーパーバゲットでした。当時テーパーバゲットは大粒の中石を波打ったかたちに取り巻いた、バレリーナと呼ばれるリングに使用されるなど、単価も高く、高級イメージのあるカットでした。インドは丸メレーにできない安い原石を使って丈の短いテーパーを作り始めました。単価が従来のテーパーの数分の1でしたからこのテーパーは売れ、小粒の中石の取り巻きリング、デザインリングが数多く造られました。儲かるとなると我も我もと参入するのがインド人の常です。よそ者を排除しつつ、業界の利益を守って将来につなげようとするユダヤ人とは異なります。市場にテーパーの製品が溢れ、テーパーバゲットの高級イメージが薄れてゆきました。今ではテーパーは安い、粗悪な、というイメージになっています。悪貨が良貨を駆逐した典型的例でしょう。
マーキスについても同じ経緯を辿りました。低品質のマーキスを大量に生産した結果、マーキスメレーはイメージを落とし、余り使われなくなりました。インドがジュエリーの大衆化に貢献したことは事実ですが、同時に過剰生産でマーケットを破壊してきた点もしっかり捉えておく必要ありです。
一時ほどの勢いはありませんが、現在まだホットなアイテムはプリンセスです。角の石はプリンセスだけでなく、バゲット、カレーもそれなりの動きを見せています。石合わせが比較的容易という理由もあるようです。プリンセスだけはテーパーやマーキスと同じようにならないよう祈るばかりです。